築40年以上のマンションにおいて、管理状態の良し悪しを計るバロメーターとなるのが「管理費等の滞納問題」に対する管理組合の対応力だ。建物が古くなるほど、ルールを無視する所有者への毅然とした対応が資産価値を大きく左右する。
実はどのマンションにも、管理費等を長期滞納している悪質な所有者がいるものだ。そのマンションには親から相続した部屋を第三者に貸して毎月しっかり家賃収入を得ているにもかかわらず、支払わないのがデフォルトになっている。いろいろな借金・滞納を踏み倒しているらしく、「裁判にさせないテクニックがある」などと吹いているらしい。以前も裁判を起こしてようやく支払わせたのだが、喉元過ぎればで、またしても1年ほどの滞納を決め込んでいた。
今回も通常の督促は一切無視。そこで「いよいよ再度の裁判を起こす」と正式に伝えたところ、それまで梨の礫だった男から突如として返信があった。「待ってくれ」と。
提示してきた弁明の論理展開は呆れるほど稚拙だったが、素人相手なら勢いとパッションで押し切れてしまいそうな妙な熱量があった。「なるほど、こうやって今まで追及を逃れてきたのだな」と変に納得してしまう内容だ。
しかし、長年舐められ続けてきた理事長の堪忍袋の緒は、すでに完全に切れていた。この稚拙な言い訳を聞くやいなや怒り心頭に発し、話は一気に区分所有法59条に基づく競売手続きの検討へと発展した。
区分所有法59条の手続きとは、共同生活の秩序を著しく乱す所有者に対し、管理組合が裁判所の命令を得て所有権そのものを剥奪し、強制的に競売へ向かわせるという最強の伝家の宝刀だ。所有者にとっては、自分の部屋を勝手に競売にかけられるうえ、競売では市場価格よりもはるかに安値で処分されてしまう可能性があるという致命的なデメリットが生じる。
今度、この「59条による強制競売を進める」という事実を本人に突きつける予定だ。今まで舐め切った態度で逃げ回っていた男がどんな顔をするのか、正直少し楽しみでもある。まあ、資産を安値で失うリスクを突きつけられれば、流石に一溜まりもなく全額払うだろう。
マンションの価値を守るというのは、修繕工事だけではない。こうした悪質な滞納者に対し、管理組合が区分所有法59条などの法的手続きを踏んででも毅然と立ち向かえるか。築40年を超えるマンションの寿命と資産価値は、まさにこうした現場の決断力にかかっている。

毅然とした態度と、強気が大事。<KAD
□運営者プロフィール
KADO|現役マンション管理フロント
✔ 管理業務主任者(実務者)
✔ 宅地建物取引士(売却領域)
✔ 第二種電気工事士(設備修繕)
✔ 一級建築士挑戦中(構造専門)
✔ 年間約30回理事会参加